知識だけでは足りない現場

専門職には、さまざまな種類のものがある。例えば、医師や弁護士、薬剤師、弁理士など上げればきりがない。そのような専門職の仕事に就くためには、国家資格を取得している必要がある場合が多い。
長時間勉強をして膨大な知識を習得する事になるが、実際に現場で生きる知識は少ない。そもそも、国家資格は、専門職に就いて仕事をする上で、必要な基礎知識を有しているか否かを判断する事を目的としている。そのため、その専門職の基本的な理念や理論が重視される事になる。
しかし、このような理念や理論を知っているだけで判断する事ができる社会の事象は少ない。
例えば、医師になったとする。試験では、ある病気に対して有効な治療法について答えが1つ用意されている。その答えは、試験の問題用紙に書かれている事実を見れば明らかである。しかし、実際に自分が医師になった場合、問題用紙に書かれている事実は存在しない。
それ故に、患者からまずは症状を聞き出し、その患者がどのような病気を発症しているのか特定をしなくてはならない。その特定ができて初めて、具体的な治療方法を模索する段階に入る事ができる。このような、症状を特定する作業は教科書などを見ているだけでは当然できない。すなわち、多くの症例を見て現場経験を積まなければ到底できないものだと言えるのだ。
以上の事から、国家資格を取得した後に慢心し自分が特別な能力を有していると誤信している専門職には、10年後の明るい未来がない可能性も高くなる。